どうも、黒咲真雫です。
科学雑誌Newtonという雑誌(https://www.newtonpress.co.jp/)があるのですが、この雑誌には理系の人はもちろん、文系の人にも楽しめるような科学系(数学や化学、物理は勿論、ダイエット関連、コロナウイルス関連、宇宙、天体、ブロックチェーンなど)の内容がイラスト付きで掲載されています。
※掲載される内容は毎月変わりますので、1冊に全て載っているわけでは無いです。
私は定期購読して4年目に入るのですが、なかなか周りで読んでいる人がいないので、布教の意味も込めてネタバレにならない範囲で内容紹介・レビュー(というかどんなことが書いてあるかの説明)をしていきたいと思います。
本記事では、Newton21年8月号 の【ABC予想とIUT理論】について触れようと思います。
~目次~
- ABC予想とは?
- IUT理論とは?
1.ABC予想とは?
まず、ABC予想という聞きなれない単語についての説明です。
ABC予想とは、ジョゼフ・オスターリ と ディヴィット・マッサー という2人の数学者が1985年に提示した数学の超難問の事です。
フェルマーの最終定理という言葉は聞いたことがあると思いますが、そのフェルマーの最終定理よりも難しいとされる難問です。
フェルマーの最終定理が以下の画像です。
フェルマーの最終定理はn=4 以上の場合の証明はわりと早い段階でされていましたが、n=3 の証明に360年かかった予想となっています。
ABC予想は以下になります。
・ABC予想
a, b, cはたがいに素な正の整数で、a+b=cだとする。
このとき、任意の正の数ε(イプシロン)に対して、以下の不等式が成り立たないa, b, cの組みはたかだか有限個しかない。
これだけだと意味が分からないので、例を出します。
a=1, b=8, c=9 の場合、a+b=cが1+8=9で成り立ち、1=1^0, 8=2^3, 9=3^2 でa, b, cを素因数分解した際に、共通な約数を持たない(1と2と3のため}状態で、これが「a, b, cはたがいに素な正の整数で、a+b=cだとする。」に当たります。
次にrad(abc)について説明します。
radはラディカルと呼び、rad(abc)は先ほど出てきたa, b, cの素数同士を全て掛け合わせた値になります。
つまりa=1, b=8, c=9 の場合は rad(abc)=1*2*3=6 となります。
ここでABC予想の式を見てみましょう。
c=9 , rad(abc)=6 なので9>6が成り立ちます。
そして、a+b=c が成り立つ組み合わせを計算していくと、この不等式が成り立つ組み合わせは、とてつもなく少ないことが分かります。
cが50000よりも小さい場合のa, b, c の組み合わせは3億8000万通りありますが、この不等式が成り立つ組み合わせは276通り(0.00007%)と非常に稀な存在です。
しかし、非常に稀なだけであって、数を増やしていくと、この組み合わせは無限に存在することが知られています。
そして、ここまでが1+εを除いた計算となります。
ここで1+εはrad(abc)の次数になるので、仮にε=1として計算してみましょう。
rad(abc)^(1+ε)=6^(1+1)=6^2=36 となります。
すると、c=9 だったため、9>36となり、ε=1の場合、この不等式が成り立たなくなってしまいます。
実はε=1にした場合に成り立つ組み合わせは1通りも見つかっていません。
そのため、εが1以下の非常に小さい値の時に、
を満たす組み合わせはたかだか有限個しかないと主張するのがABC予想です。
そしてABC予想は2012年8月に京都大学の望月新一教授が証明した論文をウェブサイトに掲載し、8年間査読され、2021年4月に数学の専門誌「PRIMS」に掲載されました。
ABC予想についてこれ以上深堀してこの記事で説明するのは難しいので、Newton本誌を買っていただけると嬉しいですが。
なお、ABC予想は「自然数の足し算とかけ算の関係性」に関する予想です。
2.IUT理論とは?
IUT理論を雑に説明すると、ABC予想の証明のために、京都大学の望月新一教授が1から構築した独自の数学理論です。
IUT理論を略さずに言うと。「宇宙際タイヒミューラー理論」といい、異なる数学の舞台(宇宙)を複数設定し、それらの間を行き来しながら計算する理論です。
これは極めて難解なことから、IUT理論を理解している数学者は数名しかいないとされています。
※論文自体が500ページもあります。
IUT理論の概念図については望月教授のウェブサイトにありますのでリンクを貼ります。
https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/project-2020-japanese.html
何故IUT理論を使うとABC予想を解けるかについてはNewton本誌に掲載されていますので、興味を持った方は是非Newton21年8月号を手に取ってみて下さい。
以上が、【内容紹介】Newton21年8月号 ①【ABC予想とIUT理論】になります。
内容に触れすぎるとNewtonを買わなくていいし、触れなすぎるとNewtonに興味が出ないしになってしまうので、いい塩梅を見つけるのが難しいのですが、これを機にNewtonに触れてもらえると嬉しいです。
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前回:これが最初の記事です。
次回:②作成中
以上、それでは。
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